☆発電が成立するためには、使うエネルギーより、取り出すエネルギーの方が大きくなければいけません。ところが 核融合発電 では、 『磁場のかご』 を作るために強力な電磁石(電気を流して磁場を作るコイル)を運転する必要があります。これでは「電気を作る」ために、「電気を流す」という矛盾が生じてしまいます。この矛盾を解決するのが『 超伝導電磁石 』です。普通の電磁石では電気を流すためにエネルギー(電力)を使ってしまうのですが、超伝導材料で作った電磁石はエネルギー(電力)をほとんど消費しません。それは電気抵抗がないからです。(詳しくはまたの機会に・・) 【超伝導電磁石を使わないと・・】 【超伝導電磁石を使うと・・】 ☆その代わり、超伝導電磁石は極低温に冷やす必要があります。プラズマ閉じ込め装置 「大型ヘリカル装置」 の超伝導電磁石は液体ヘリウムに浸してマイナス270度に冷やされています。世の中の一番低い温度がマイナス273度(絶対零度)なので、それより3度高いだけの極低温です。 1億度 のガス(プラズマ)の周りにマイナス270度が存在するという究極の技術が使われるのが核融合発電です。その技術は大変難しいと言われてきましたが、「大型ヘリカル装置」の実験成功で、実現可能であることが確認されました。その後完成した中国のEAST、韓国のKSTARという2つのプラズマ閉じ込め装置も、超伝導電磁石を使って実験を行っています。 ☆超伝導電磁石を冷やすためにエネルギーが必要ですが、核融合発電が実現したら、発電量の数パーセントの電力で超伝導電磁石を冷やすことができます。
海水が原料となる核融合発電は、持続可能なエネルギー源として、今地球の抱えている色々な問題を解決してくれるはずです。そんな核融合発電について解説します。 水色の文字は、サイト内の関連記事にリンクしています(外部リンクと表示のない限り) このサイトでは、主に「磁場閉じ込め核融合」を扱っていますので、「レーザー(慣性閉じ込め)核融合」とは技術的に異なる点があります。ご注意ください。