スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

8月, 2009の投稿を表示しています

核融合発電の無尽蔵な資源についての補足

核融合発電燃料重水素は無尽蔵であると説明してきましたが、ここで少し補足をしなければいけません。核融合発電の燃料は重水素三重水素(通称トリチウム)です。トリチウムは自然界にはほとんど存在しません。あれ?それでは資源がないことになります。 ☆ここはうまくなっていて、「リチウム」の入った合金や化合物に核融合反応で発生する中性子を当てて三重水素を生産します。リチウムは電池(上の写真)に使われるようになって有名になった元素です。リチウムは鉱山からもとれますが、限りある資源です。核融合発電で使ってしまうと数百年でなくなってしまいます。

☆ところが、リチウムは海水中に0.000017%だけ含まれています。(重水素は0.015%)これを回収できれば、重水素と同じように数千万年使うことができます。実質「無尽蔵」です。しかし今はリチウムを海水中から商業的に回収することに成功していません。(実験は順調に進められています。)核融合エネルギーの持続可能性は、つまり重水素とリチウムが海水中から低コストで回収できることが前提となっています。

世界のプラズマ閉じ込め実験装置が作るプラズマ、百聞は一見にしかず

プラズマ閉じ込め実験装置は世界中にあります。それらの中では、1億度の超高温のプラズマが作られています。百聞は一見にしかず。インターネット上に公開されている実験装置が作ったプラズマのMovieを紹介します。

大型ヘリカル装置 LHD(外部リンク)
日本を代表する超伝導プラズマ閉じ込め実験装置。ヘリカル型と呼ばれるタイプで1分以上のプラズマを作ることが得意。最長記録は54分。

トールスープラ Tore Supra(外部リンク)
フランスの超伝導プラズマ閉じ込め実験装置。トカマク型と呼ばれるタイプで最長6分30秒のプラズマを作りました。

ジェット JET(外部リンク)
イギリスのプラズマ閉じ込め実験装置。世界最大級のトカマク型装置。燃料に重水素三重水素(トリチウム)を使い、実際に核融合反応を起こす実験をしました。

(注)Movieを見るためには、追加のソフト(無料)が必要になる場合があります。また容量が大きいので、接続環境に気をつけてください。

核融合とプラズマの関係【2】

前回、プラズマの説明をさせていただきましたが、もう少し核融合との関係を説明させていただきます。普通の気体は、「原子核」の周りを「電子」が覆っています。核融合反応を起こすために、原子核どうしを衝突させたいのですが、電子が邪魔をしてしまいます。だから電子が剥ぎ取られ(専門的には『電離している』と言います)、原子核が自由に動き回っている「プラズマ」という状態が大変都合が良いわけです。
☆上の絵のように飛び回っている原子核が衝突すると、ある確率で核融合反応が起こります。その確率を高くするには、衝突するときの速さを大きくする必要があります。だいたい1秒間に1000キロメートルの速さにしなければ反応が起こりません。そんな高速にするために必要なことが、温度を高くするということで、最終的に1億度の温度が必要となります。

核融合発電を行うために『1億度のプラズマ』が必要な理由が、これでイメージしていただけたでしょうか。

核融合とプラズマの関係【1】

核融合発電を実現するためには、その前に水素(実際にはその仲間の重水素三重水素)の『プラズマ』を作る必要があります。☆さてプラズマってなんでしょうか。プラズマと聞いてすぐに思いつくのが『プラズマテレビ』です。専門家はプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)と呼んでいます。このテレビは赤、緑、青色の1mmに満たない小さい蛍光灯を並べて、それらを光らせています。ここでは「蛍光灯」=「プラズマ」と考えてもらって結構です。プラズマというのは、普通の気体では原子核の周りを電子が覆っているのに対して、 下の絵のように原子核と電子が離れて別々に勝手に動き回っている状態をいいます。この状態は温度が高いと起こります。ということは「蛍光灯」も温度が高いことになります。実はその温度は1万度。「触っても火傷しないの?」という疑問がわきますよね。ところが1万度になっているのは、薄い、ほとんど真空に近い(アルゴン+微量の水銀)の気体です。温度が高くても、その気体が薄いと、触ってもその熱さを思ったほど感じないのです。
☆話は最初に戻って、核融合発電でもプラズマを作ると言いましたが、プラズマテレビと反対に、巨大な蛍光灯を作っていると想像してください。ただし温度は1億度に達するので、壁に触れてプラズマの温度が下がってしまわないように『磁場のかご』を使って空中に浮かせる必要があります。

核融合発電で使うトリチウムのはなし

核融合発電の安全性について、「爆発(暴走)しない」「中性子による事故は起こらない」と説明してきましたが、もう一つ忘れてならないのは燃料に使われる三重水素(別名トリチウム)のことです。トリチウムは、水素の仲間(同位体)で、水素とほぼ同じ化学的性質を持っていますが、ベータ(β)線という放射線を出す放射性物質です。このβ線の力は弱く、空気中では1センチメートルほど飛ぶと止まってしまいます。またアルミ箔で止めることもできます。このようにトリチウムが隔離されていれば、怖がることはありません。しかし、トリチウムを体の中に摂取すると少なからず影響があります。(その危険性は同じ放射能で比較すると,原子炉でできる放射性物質,ヨウ素の1200分の1、プルトニウムの14000分の1と小さいですが)つまりトリチウムは管理・隔離する必要があるということです。

核融合発電所では、重水素とトリチウムを燃料として消費し、核融合反応で発生する中性子をリチウム(トリチウムとリチウムは別の元素です)に当ててトリチウムを生産するという循環サイクルを使います。ですから、トリチウムは最初の運転に必要なだけで後は増えも減りもしません。その量はだいたい数キログラムと予想されます。(なお、原子炉の燃料は約100トンなので、それに比べると桁違いに少ないです。)管理することなく外部に放出することはありませんし、どうしても分離回収できなかったトリチウムは、法令基準を守って外部に放出します。(法令基準は環境に影響を与えないほど小さいものです)

☆核融合発電が完成するまでにはまだ時間があるので、トリチウムを何重にも隔離する方法、トリチウムを除去回収する技術を重点的に研究する必要があります。核融合発電の安全性を社会に理解してもらうことが、技術開発以上に重要であることは言うまでもありません。

核融合発電で使う中性子のはなし

核融合発電では、炉の中で中性子が使われることをお話しましたが、この中性子を正しく怖がってほしいと思っています。1999年9月30日のJCOでの「臨界事故」で、2名の方が亡くなりました。その直接の原因が中性子の被曝でした。中性子は使い方を誤ると、悲惨な事故につながることを痛感しました。

核融合発電では、炉の中以外で中性子を発生することはありません。また運転中は建物への入室が禁止されます。暴走することは原理的になく、瞬時に中性子発生を止めることができます。だからJCOのような「臨界事故」は起こりません。(当然チェルノブイリのような事故も起こりません)

中性子はエネルギーを取り出すために、炉の壁で止める必要があります。ですから、ほとんどが炉の壁で止まってしまい、炉の外には飛び出してこないわけです。ただし、100%が炉の壁で止まるわけではありません。

☆炉が入る建物は、中性子が外に飛び出ないように分厚いコンクリートの壁でできています。それでも少しだけ通り抜けるものがあります。その量(他の放射線も含めて)は原子力発電所では敷地の境界で年間50マイクロシーベルトという目標値が設定されています。(マイクロシーベルトは放射線防護の目的で使われる放射線の量の単位)核融合発電所でも完成すれば、この基準を使うでしょう。さて50マイクロシーベルトが大きいのか小さいのかが気になってきます。中性子は宇宙から常に降っています。高度が高いほど中性子が多く、アメリカやヨーロッパまでのフライト片道で50マイクロシーベルトの中性子を受けます。(外部リンク:放射線医学総合研究所のホームページ)定期検診で受けている胸のレントゲン写真はX線という別の放射線ですが、だいたい100マイクロシーベルトです。敷地境界に年中ずっといて、50マイクロシーベルトという基準は、過度に怖がる量ではないと思います。

核融合発電のしくみ

☆下の絵は、核融合発電の仕組みを簡単に書いたものです。核融合発電の中心は「核融合炉」です。(火力発電では「ボイラー」、原子力発電では「原子炉」と呼びます)炉の中で燃焼しているのは、水素の仲間(重水素三重水素)を真空状態に近い希薄なガスにし、1億度まで加熱したものです。これを『プラズマ』と呼びます。中では核融合反応が起きていて、反応で発生したエネルギーを熱として取り出して水を沸騰させます。そして蒸気でタービンを回し発電します。蒸気はもう一度海水で冷やして水に戻します。ここまでの話では、燃えているものが違うだけで、火力発電、原子力発電とおおまかな仕組みは同じです。(次世代の核融合発電では効率の高い直接発電も考えられています)


☆火力発電や原子力発電では燃焼している燃料から直接熱が発生し、熱を取り出すことができます。ところが核融合炉ではまず、核融合反応でできた高速で飛び出してくる中性子を周りを覆った厚さ1mのブランケットと呼ばれる部分で受け止めます。ブランケットで受け止められた中性子は速度を落とし、その落ちた速度に相当するエネルギーが熱に変わります。(プランケットの温度は500度ぐらい)この中性子の運動エネルギーが熱エネルギーに変わるところが従来の発電と異なる点です。

☆材料(主に金属)に中性子が当たると、機能が劣化したり、放射化(普通の材料が放射能を持つように変化)したりします。中性子が当たっても丈夫な材料、さらに放射化しにくい材料の研究が現在精力的に行われています。そして最初の核融合炉に使うことができる材料の候補もすでに見つかっています。当然のことですが、生体遮蔽(作業者や周辺の住民に中性子を含む放射線が当たらないようにすること)が絶対に必要ですが、その技術はすでに開発されています。

☆プラズマが周囲の壁に触れてしまうと、プラズマの温度が下がって、核融合反応が止まってしまいます。そのために『磁場のかご』を使ってプラズマを空中に浮遊させます。(このとき壁とプラズマは離れていて、その間は真空になっています)この『磁場のかご』を作り出すのが、ブランケットの外側にある超伝導マグネットです。超伝導マグネットはマイナス269度という極低温に冷やされます。1億度という超高温とマイナス269度という極低温が数メートルほどの距離で接近していることも工学的に難しい技術です。しかし、…

核融合で燃えるということ

☆前回、核融合発電で使う反応が、重水素三重水素の原子核をくっつけて(融合して)ヘリウムの原子核に変えることですと説明しました。この反応が続くことを『燃焼』と呼んでいます。ですが核融合反応では、炎はでないので、燃えるというイメージがつかみにくいと思います。
☆写真のような焚き火の『燃焼』は、薪の炭素と空気中の酸素がくっつく化学反応が、反応自身の炎と発熱で薪が燃え尽きるまで続くことを言います。また最初に火を点けることを『点火』と言います。焚き火では、最初に火を付けるのに苦労しますが、燃えはじめると後は薪をくべるだけで燃え続けます。
☆核融合発電の場合も焚き火と同じです。温度を1億度に上げて反応を起こすために、最初に加熱装置を使って『点火』する必要があります。ここでは逆に電気を使います。そして一度反応が起こると、発生するヘリウムの原子核が燃料にエネルギーを与えてくれて温度が下がらないようにしてくれます。そうするともう加熱する必要はなくなります。これで核融合反応が持続するようになります。これを『燃焼』と呼んでいます。後は燃料の供給などをうまく制御しながら、発電を開始します。

☆発電には一緒に発生する中性子の運動エネルギーを使います。火力発電や原子力発電では、燃焼している燃料から直接熱エネルギーを受け取ることができます。一方、核融合炉では、核融合反応で飛び出してくる中性子を周りを覆った厚さ1mのブランケット(毛布のような覆うものという意味の英語)と呼ばれる部分で受け止め、そこで『中性子の運動エネルギーを熱エネルギーに変換』します。この一つ多いエネルギー変換が今後の技術的な課題となっています。

核融合の核の本当の意味は?

☆今、報道では「核」という言葉は必ず怖いイメージで使われます。「核実験」とか「核弾頭」に関係するものは、総称して「核」と呼ばれています。「核融合」にも同様の事情があります。研究所に見学に来られた方々からは「核が付くから怖いものだと思っていました」という感想を多くいただきます。きちんとご説明すると「イメージが変わりました」と仰っていただけます。

☆『核融合』の「核」は『原子核』の「核」のことです。すべての物は3つの小さな粒子からできあがっています。それが「陽子」、「中性子」そして「電子」です。例えば水素は1個の陽子と1個の電子でできています。陽子は水素原子の中心にいるので、原子の核、「原子核」と呼ばれます。ヘリウムは2個の陽子と2個の中性子そして2個の電子でできています。ヘリウムの原子核は陽子2個と中性子2個のかたまりです。その周りに電子2個がいます。

☆「原子核」どおしが高速でぶつかってくっつく(融合する)ことを核融合反応いいます。例えば太陽の中では、水素の原子核4個がくっついてヘリウムの原子核に変わる核融合反応が起こっています。核融合発電では、重水素の原子核(陽子1個と中性子1個)と三重水素の原子核(陽子1個と中性子2個)をくっつけます。できるのは太陽と同じようにヘリウムの原子核です。下の図がそれを模式的に表したものです。黄色い玉が陽子、青い玉が中性子を表しています。
☆海外では"Nuclear Fusion"という言葉からNuclear(核)を省略して"Fusion"(融合)だけで核融合のことを意味するようになってきました。病院にある「磁気共鳴画像(MRI)」も最初は「核磁気共鳴(NMR)」と言っていました。「核」が嫌がられ、一般名称が変わってしまった例です。核融合もという話はありますが、私は適当に言葉を省略することに抵抗を感じます。【核融合】が一般に理解されるように頑張ります。

核融合発電の平和への貢献

☆今日は終戦の日。何時までも戦争の悲惨さを忘れずにいたいです。

☆核融合発電が実現すれば、資源は海水中に無尽蔵に存在します。化石資源のように偏在しないので、資源を取り合うようなことは起こりません。(まさか海水を取り合うことはないでしょう)だから核融合発電の実現は、世界の平和に貢献すると信じています。核融合発電の燃料は、重水素(水素の同位体)と三重水素(同じく水素の同位体)を作るためのリチウムという金属です。重水素リチウムとも海水中に無尽蔵に存在します。あえて数字で言うと、重水素が50兆トン、リチウムが2000億トンです。また、海水中から重水素リチウムを回収しても、海の環境は変化しません。

☆核融合発電は、ウランやプルトニウムを使用しないために、核兵器の開発に利用されません。一方、原子力発電は使い方を誤ると、核兵器のための燃料生産に使われてしまいます。(日本ではなく、他の国の話です)

☆核融合発電は、太陽光発電や風力発電と同じように、持続可能なエネルギー源であり、資源獲得競争の起こらない平和な発電システムとなります。

大蛇が絡みついたような「磁場のかご」

☆私の働いている研究所の実験装置についてお話します。研究所は「核融合科学研究所」といい、名前の通り核融合に関する科学的な研究をする所です。研究所には「大型ヘリカル装置」という世界最大の超伝導プラズマ閉じ込め実験装置があって、全国の大学の共同利用設備としてこれまで11年間運転してきました。NIFS: http://www.nifs.ac.jp/kids/kabegami.html
☆上の写真は、その大型ヘリカル装置の「磁場のかご」です。2匹の大蛇が絡み合ったような不思議な形をしています。全体を見るとドーナツ状をしていて、直径が10メートルにもなります。大蛇のように見えるところには強力な超伝導磁石が入っていて「磁場のかご」になります。

☆このような不思議な形になったのには、色々な研究してみると、高い温度のプラズマ(プラズマについては次回説明します)を閉じ込めるのに最適だったからです。この方法は日本で考えられ「ヘリカル型」と呼ばれています。実験では、1億度近い水素のプラズマをこの「磁場のかご」の中に閉じ込める研究を行っています。(核融合反応は起こしません)

太陽と「地上の太陽」の違い【2】

☆太陽の中心では2500億気圧の圧力があります。これに対して「地上の太陽(核融合発電)」では磁場の容器、「磁場のかご」を使って、わずか数気圧の気体を閉じ込めます。この違いをもう少し詳しく説明します。

☆気体の圧力は、温度が高いほど、また粒子(分子、原子核、電子など)の数が多いほど、大きくなります。地上で核融合反応を起すためには、約1億度の温度が必要です。圧力は温度に比例するので、大気圧の気体は、簡単に数10万気圧になってしまいます。これでは数100気圧の「磁場のかご」では閉じ込めることができません。圧力を数気圧まで小さくする必要があります。そこで「地上の太陽」では、粒子の数を減らして、真空状態に近い状態します。圧力は粒子の数にも比例するので、1億度に加熱しても圧力は数気圧におさまります。

核融合発電に使う燃料には、真空状態に近い薄い気体を使います。こんなに薄い気体なのに、発電できるようなエネルギーを出すところが、核融合発電の不思議なところです。(この仕組みについては後日説明します)また、温度が上がりすぎたり、燃料を入れすぎると、気体の圧力が上がって「磁場のかご」で閉じ込められなくなるため、自動的に核融合反応が止まります。核融合発電で反応の暴走が起こらないのは、このような理由だからです。

太陽と「地上の太陽」の違い【1】

☆太陽も核融合エネルギーで輝いていますが、同じ核融合エネルギーを地上で実現し、発電に利用しようとしているので、私たちは「地上に太陽を」というキャッチフレーズを使っています。

☆しかし、実際の太陽と「地上の太陽」には大きな違いがあります。太陽は75%が水素でできていて、中心(核)のところの圧力が2500億気圧、温度が1500万度になっています。こんな想像を超えるところで核融合反応が起こっています。水素は気体なので、圧力を与えるためには、なにか容器のようなものが必要な気がします。でも太陽は真空中に浮いているだけです。容器のかわりをしているのが、想像を超える重力です。太陽の重さは地球の30万倍。その重力が中心に向かって働いています。


☆太陽中心を地上に再現することは不可能です。太陽のような重力はありませんし、金属の容器でそのような超高圧・超高温のガスを閉じ込めることができないのです。そこで地上の「制御された核融合」発電では、目に見えない磁場を容器(『磁場のかご』)として高温のガスを閉じ込めます。つまり超伝導磁石(マグネット)という強力な磁石を使って『磁場のかご』を作ります。ピップエレキバンの125倍の磁場(10テスラ)を発生させると400気圧の『磁場のかご』ができます。太陽とは桁違いに小さい圧力でしか閉じ込めることができない容器ですが、このことを現実として受け止め、核融合反応を実現しなければなりません。「地上の太陽」実現の難しさは、このようなところから生まれています。

核融合発電は爆発しません

★今日は広島に原子爆弾(原爆)が投下された日。原子爆弾はウランやプルトニウムの核分裂反応を利用した非人道的な兵器です。世界は協力して核廃絶を実現しなければなりません。

★核融合エネルギーにも「核」という文字がつきます。残念なことですが核融合エネルギーも非人道的兵器に利用されたことがあります。水素爆弾(水爆)と呼ばれるものです。1950年代に米国によって実験が行われました。第5福竜丸が被曝したのも水素爆弾の実験(1954年)です。

★水素爆弾は原子爆弾(ウランかプルトニウム)の中心に重水素化合物(おそらく固体)を入れて、核融合反応を起こして爆発力を強めたものです。つまり核融合反応を起こすための起爆剤に原子爆弾を使ったもので、原子爆弾を使わなければ水素爆弾はできません。また水素爆弾の放射性降下物のほとんどがウランやプルトニウムからできたものです。

☆「制御された」核融合エネルギー(核融合発電所)は、純粋な重水素三重水素(どちらも水素の同位体)の気体を混ぜて、真空に近い状態でゆっくりと反応させます。ウランやプルトニウムは使いません。核融合発電所の発電量は火力発電とほぼ同じ100万キロワット程度です。これに対して水素爆弾は、核融合発電で生じる「3年分の総エネルギー」を、10万分の1秒という一瞬に放出します。核融合発電と水素爆弾は反応の速さが桁違いに違う、全く別のものなのです。

☆爆発とは、高圧力に圧縮された物質が短時間に外に飛び散ることです。核融合発電の燃料は温度が高くなっても数気圧にしかなりません。これでは爆発しません。

核融合発電は爆発の心配のない発電システムなのです。

核融合発電は暴走しません

核融合発電原料は海水。これが良いことの1番目だとすると、2番目の良い点は左の写真のコンロと関係しています。コンロに天ぷら油を入れた鍋をかけて暖めます。コック(ツマミ)を調節して油の温度を適当なところに調節して、そして天ぷらを揚げます。ここで、間違ってコックを目一杯開いて、放置したらどうなるか想像してください。油の温度はどんどん上がり、炎が上がります。こうなるともうなかなか消えません。核融合発電ではこのような『暴走』という現象が起きません。
核融合発電では、コンロと同じようにツマミを開いて燃料(熱)を供給し、温度を高めて行きます。ちょうど良いところで、つまみを調節して燃え続けるようにします。ところが、それ以上にツマミを開くと、温度が下がって、逆に燃焼が止まってしまいます。天ぷら油の場合と違いますね。だから暴走しようがありません。いつもツマミを調整し続けないと燃えません。どのようにツマミを調整するかが難しいのですが、現在は実験装置やスーパーコンピュータを使った研究が進んで、ツマミの調節方法も予測できるようになってきました。

核融合発電は暴走事故の起こらない発電システムとなります。

(2014.1.10追記)原子力発電との比較でいうと、連鎖反応ではないということが重要です。ウランを使う核分裂反応は、一つの反応が次の反応の引き金になります。次々に反応が続くので連鎖反応と言います。連鎖反応が続く状態を「臨界」とも言います。しかし、核融合発電での水素の核融合反応は、個々の反応が連鎖していなくて独立したものです。だから、原理的に暴走が起きないのです。