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本の紹介「Build the Future」

西澤丞著:Build the Future、太田出版 (2010)
先日発売された写真集「Build the Future」に、全国の核融合研究施設で撮影された写真が掲載されました。なんと表紙は大型ヘリカル装置の内部です。写真集は核融合研究施設、加速器研究施設、外郭放水路の三部構成です。私の知る限り核融合研究施設を撮影した写真集はこれが初めてです。その著者の目の付け所にも驚きますが、中を見ると著者独特の視点で写真が撮られています。私にとっては見慣れた部品や光景が、写真になるととてもカッコよくなっているのです。クールな写真は最先端科学と社会を繋ぐ新しい手法だと感じました。

1億度をどうやって測るの?

前回、1億度の話しをしましたが、今回はその温度をどうやって測るかを書きます。温度計を挿すわけにはいきません。それでは・・・前回書いたように、気体やプラズマの粒子の速度は、温度が高くなるにつれて、速くなっていきます。つまり粒子の速度を測れば、温度が分かることになります。そう、速度を測れば良いのです。
☆「ドップラー効果」という言葉を聞いたことありませんか。身近では救急車の音でその効果を感じることができます。救急車の音は近づいてくる時、高い音に聞こえます。そして遠ざかる時は低い音に聞こえます。下の絵のように、自分の目の前を通りすぎると音が変わるのです。そしてその音の変わり方で救急車の速度も分かるのです。これを利用したものに、高速道路などにある自動速度取締機(通称オービス)があります。車の速度を測るためにドップラー効果を利用しています。
☆さて、プラズマの温度を測るためにも、ドップラー効果を利用して粒子の速度を測ります。ドップラー効果は音だけでなく、光でも起こります。つまりプラズマから出てくる光や、プラズマにレーザーを当てたときの散乱した光を見たりして、粒子(イオンや電子)の速度を測ります。粒子の速度が速いほど、光の波長(色)の変化(広がり)が大きくなるわけです。ほとんど極限状態の温度を測るわけですから、この温度の測り方も大切な研究テーマになっています。

☆非常に遠くの星(銀河)までの距離も、このドップラー効果を使って測ることができます。(外部リンク:国立天文台)宇宙は膨張しているので、遠くの星ほど速い速度で遠ざかっています。星からの光の波長のずれから遠ざかる速度が測定できて、その速度から距離が推定できるというわけです。誰が考えたのか、すごいですね。