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大型ヘリカル装置の超伝導コイルが捩れている理由

☆私たちの研究所(岐阜県土岐市)では、世界最大の ヘリカル型 プラズマ実験装置である「 大型ヘリカル装置 」を用いて、高温 プラズマ を閉じ込める研究を行っています。この「ヘリカル」というのは「らせん状の」という意味で、ドーナツ状のプラズマの周りにらせん状の 超伝導コイル が巻き付けられていることから名付けられました。(下の絵をご覧下さい) ☆では、どうしてらせん状のコイルが必要なのでしょうか?それは洗濯機のように粒子をかき混ぜるためなのです。ドラム式洗濯機を思い浮かべてください。ドラムが回っていないと、洗濯物は下に溜まってしまいます。同じように、ドーナツ状の プラズマ の中では、下の絵(ドーナツの断面)の左側のように、プラスの電気を帯びた粒子(原子核)とマイナスの電気を帯びた粒子(電子)が、上下に分離してしまいます。これでは、上手く閉じ込められないことが分かっています。そこで、 粒子が磁場にまとわり付く 性質を利用し、コイルをらせん状にして、上下をかき混ぜてしまおうというのです。かき混ぜると、下の絵の右側のように、原子核と電子が上手く混ざり合います。ドラム式洗濯機のドラムを回すと、洗濯物が全体に広がるのと同じですね。 ☆さて、磁場でプラズマを閉じ込める型にはもう一つ、トカマク型があります。こちらのコイルは下の絵のようにらせん状ではなくリング状です。この形のコイルだけでは、かき混ぜる効果はありません。そこでトカマク型では、プラズマに電流を流します。その電流がらせん状の磁場を作り出し、粒子をかき混ぜる仕組みになっているのです。ですから、コイルの形は単純ですが、プラズマに電流を流す工夫が必要になってきます。