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核融合反応でできたヘリウム灰を外に排気する方法

核融合炉の中では、核融合反応によって中性子とヘリウムができ中性子がブランケットと呼ばれる壁で熱に変わるという話はこれまでもしてきました。ですが、ヘリウムはどうなるのかという話はしていなかったと思います。ヘリウムもプラズマ状態ですから、磁場の籠で閉じ込められて、外に出て行きません。そうすると、プラズマの中にヘリウムが溜まってしまって、水素の核融合反応を邪魔するようになってしまいます。どうにかして、ヘリウムを外に排気しなければいけません。(だから、専門家はヘリウムのことを灰と呼んでいます)
そこで考えられたのが、ダイバータと呼ばれる装置です。ダイバータは「流れを転じるもの」といった意味です。上の絵のように、プラズマの断面は一般的に楕円形をしているのですが、その一部から外に向かってプラズマが外に飛び出るようにします。(絵の下側のように。池の端に水が流れ出す水路を作るイメージです)そうすると、プラズマ粒子の一部がそこに向かって流れ出します。当然水素に混じってヘリウムも流れ出します。そのプラズマ粒子を板にぶつけて、止めてしまうともうプラズマではなくなり普通の気体なので、ポンプを使って外に排気できます。そのような仕組みを持った装置がダイバータです。排気されたガスはヘリウム混じりの水素なので、ヘリウムを分離して水素をもう一度プラズマに戻すと、プラズマにヘリウムが溜まらなくてすみます。
ダイバータの板にはプラズマが当たりますから、核融合炉の中で最も温度が上がります。普通の金属では溶ける可能性があるので、最も溶けにくいタングステンという金属が使われます。(もちろん少しでも溶けたら不純物となってプラズマを一瞬で冷やしてしまうので、メルトダウンといったことは起こりません)現在フランスに建設中のイーター(ITER)という装置では、実際に核融合反応が起きますから、ダイバータが上手く働くかどうかが確かめられるはずです。
なお、ヘリウムは無害で、温室効果もありませんから、外に排気しても環境に影響は与えません。それより貴重な資源ですから、有効利用するのがよいでしょう。