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核融合発電実用化に向けたスケジュール

昨日まで核融合エネルギー連合講演会に出席し、核融合発電実用化に向けた貴重な話しを聞いてきました。そこで聞いた実用化に向けたスケジュールについて纏めてみます。

まず国の方針として「今世紀中葉までに実用化の見通し」を得るとなっています。中葉というのは曖昧ですが、2050年頃ということです。ここから研究開発のスケジュールが逆算されていきます。

実用化の前に、初めて発電を実証する「原型炉(デモ炉)」が建設・運転されます。これが2040年までの運転開始を目指します。これが「核融合発電の実現」ということになります。実現と実用化の間には少し隔たりがあります。実用化にはさらに経済性の向上が必要だからです。

今既に進んでいる計画は、国際協力によるフランスに建設中の「ITER(イーター)計画」です。これは「実験炉」と呼ばれ、発電はしませんが50万キロワットのエネルギーを核融合によって発生します。2020年に実験を開始し、エネルギーを発生するのは2027年です。日本国内で実験炉を作る計画はなく、ITERの実験結果を利用して上記の原型炉を設計し、国内に作ります。

「核融合発電の実用化」には、まだ長い道のりが続きますが、きっと成功すると信じています。

ヘリカルとトカマク

☆岐阜県土岐市(私の研究所)で研究が進められているのはヘリカル方式(ステラレータ型のひとつ)と呼ばれ、茨城県那珂市で研究が進められているのはトカマク方式と呼ばれています。(これらの磁場閉じ込め方式と原理の異なるレーザー方式という方法もあります)どうして2つの方式があって、日本では2ヶ所で研究が行なわれているのでしょうか。

文部科学省のHP(外部リンク)から引用すると、「国内においては、トカマク、ヘリカル、レーザー、炉工学を重点化すべき課題に絞り込み、これまで長年にわたりプラズマ研究を担ってきた多数の実験装置を、臨界プラズマ試験装置JT−60(トカマク方式/日本原子力研究開発機構)、大型ヘリカル装置LHD(ヘリカル方式/核融合科学研究所)、激光XII号(レーザー方式/大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)に整理・統合することによって重点化・効率化を図り、共同利用・共同研究を積極的に推進しています」が「我が国における核融合研究開発の方針」となっています。つまり、今はトカマクとヘリカル、そしてレーザーに実験装置を絞り込んで研究を進めている段階にあります。

☆ヘリカルとトカマクは、見た目には磁場を作る電磁コイルの形が異なります。(下の図を見てください)しかし、ドーナツ状のプラズマを作る点や超伝導磁石を使う点など基本部分は同じで、現時点ではどちらにも研究・開発しなければならない課題があります。そして両方の研究で分からないことを補い合い、同時に研究が進んでいます。発電所を作り始める段階ではどちらの方式にするか決めないといけませんが、現時点では2つの方式を同時に研究・開発することが望ましいと思います。(2つあることが無駄にはなっていないということです。)
トカマク方式のプラズマと超伝導コイルの形 (リング状のコイルが等間隔に並んでいます)
ヘリカル方式のプラズマと超伝導コイルの形 (連続した捩れたコイルが巻き付けられています)