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大型ヘリカル装置の超伝導導体を詳しく解説

上の写真は、プラズマ生成実験を行っている核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)に使われている「超伝導導体」の断面写真です。外形が12.5ミリ×18ミリで、ちょうど親指くらいの太さです。写真は切り出した短いサンプルを写したものですが、実際の導体の長さは、合計で36キロメートルにもなります。この導体を巻いて電磁石(マグネット)を作るのですが、その大きさは直径約10メートルと巨大で、下の絵の青い部分のように二重螺旋の形をしています。導体を巻くことを巻線といいますが、巻線には昼夜問わず作業して1年半掛かりました。なんと導体は合計で900周しています。 さて、超伝導導体のすごいところは、この親指ぐらいの太さで、1万アンペアを流すことができることです。普通の銅線であれば、数100アンペアぐらいしか流せないはずです。(ちなみに家庭の電気製品のケーブルは15アンペア以下)銅線は電流を流しすぎると熱くなりますよね。これは抵抗があって電力を消費しているからです。しかし超伝導導体は抵抗がゼロで、電力を消費しません。装置では、電磁コイルに電流を流すわけですが、流しっぱなしの状態では、電力を消費しない、つまり電気代がいらないということになります。(実際には、少しだけ電力を消費しますが、詳しいことは省略します)
そんなことなら、世の中の電線を全て超伝導にすればよいではないかという話になりますが、そうはいかない事情があります。現在発見されている超伝導体はすべて冷やさないとその能力を発揮しないのです。LHDの超伝導体はニオブとチタンの合金ですが、マイナス270℃に冷やしてから電流を流しています。マイナス270度といえば、絶対零度からたった3℃高いだけです。そこまで冷やすためにはクーラーの親玉みたいな冷凍機が必要で、そこで電力を使ってしまいます。核融合発電になると、その電力が発電した電力の1割にも満たないから成立するのです。
最後に、上の写真の断面構造について説明しておきます。周りの銅色の部分は、まさしく銅です。下側の四角い白い部分、これはアルミニウム。そして、その上側の黒い丸い線15本が二列に俵積みになっている部分、これがニオブチタン超伝導線(撚線)です。アルミニウムがどうして付いているかというと、もしも導体の温度が上がって超伝導性が失われたときに、電流を一旦アルミニウムに分流させて、そ…

身近なプラズマいろいろ

オーロラ、炎、稲妻、星雲、太陽コロナ、蛍光灯、ネオンサイン、プラズマテレビなど、身近には色々なプラズマがあります。これらにある共通点がありますよね。そう、「光っている」ことです。前回プラズマでは、原子から電子が剥がれる(電離する)と説明しましたが、逆に原子に電子が戻ることもあります。その時に光を発するのです。だから、ガス状のものが光っていると思ったら、それは大抵プラズマです。そういえば「火の玉」もプラズマだという話があります。(実際に火の玉を見たことありませんが)
上の絵に、色々なプラズマを整理してみました。横の軸は、1立方センチメートルの中に何個の電子(またはイオン)が電離して存在するかという数(密度)です。10の右肩に数字を付けたものは、「10のべき乗」といって、すごく大きな数字を表すときに使います。ちなみに、空気(0℃、1気圧)の気体分子の密度は、10の19乗くらいです。ですから、数字自体は大きいですが、空気より密度は小さいということになります。縦の軸は、温度を表しています。
これらの内、比較的温度の低い、オーロラ、炎、稲妻は、気体の全てが原子・分子が電離しているわけではなくて、ごく一部だけです。このようなプラズマを「弱電離プラズマ」と言います。このプラズマは、電子だけが温度が高い(イオンは低い)ので、上の絵では、電子の温度を表しています。絵には載せませんでしたが、蛍光灯の電子は1万度にもなります。どうして蛍光灯を触っても火傷しないのででしょうか。それは、ごく一部の電子が高温なだけで、他のほとんどの気体分子やイオンは温度が低いので、平均すると火傷するような熱さにはならないのです。
一方、比較的温度の高い星雲、太陽コロナなどは、完全に電離してしまっているので、「完全電離プラズマ」と呼ばれます。こちらは、イオンの温度も高くなります。お気付きかもしれませんが、完全に電離していたら、イオン=原子核です。将来の核融合発電に必要なプラズマを研究している大型ヘリカル装置のプラズマもほぼ完全電離プラズマで、イオンの温度が1億度にもなります。
上の絵に、太陽の中心部がないのですが、これは別格です。粒子の密度が10の26乗もあり、上の絵には入りきらないのです。比重にすると、金属でも重たい鉛の10倍以上で、プラズマにもかかわらず、あたかも固体状態です。ここでははるか昔から自然に…

プラズマってなに?おおざっぱにいうと

核融合発電にも利用されるプラズマ。今回は、プラズマの説明をざっくりとしてみようと思います。まず、原子がプラスの電気を帯びた原子核とその周りにあるマイナスの電気を帯びた電子からできていることを思い出してください。電子の数は一つのときもあるし、多数のときもあります。(つまり上の絵は、省略して単純に書いています)
その電子が、原子から離れたとしましょう。何個の電子が離れたかはここでは考えないことにします。電子が離れた残りの原子を、特別に「イオン」と呼びます。(スーパーの名前と同じなので覚えやすいですね)そして電子が離れることを、そのまま「電離(でんり)」と呼びます。

気体は、分子の集まりです。分子は原子が1個または複数個くっついたものです。空気だったら窒素分子(窒素原子2つ)と酸素分子(酸素原子2つ)が80%対20%で混じり合っています。上の絵は、分子が1個の原子からできているとして、気体を書いています。(これも単純化のため)
気体の温度が数千度くらいになると、最初に言った「電離」が始まります。気体で電離が起こると、上の絵の右のように、イオンと電子がバラバラに自由に動き回っている状態になります。これ状態を「プラズマ」と呼びます。
プラズマ特徴は、気体が電離したものだから、プラスの数とマイナスの数が同じです。上の絵だと10個ずつです。だから、全体としてみると気体とおなじように電気的に(ほぼ)中性です。ところが、このプラズマに電池につながった電極を近づけると、イオンはマイナスの電極に向かって走り、電子はプラスの電極に向かって走り出します。つまり、電流が流れるのです。これは普通の気体には見られない特徴です。
また、磁石に対しては、離れようとする「反磁性」という性質があります。磁石にくっつく鉄と反対の性質です。この性質をうまく利用すると、磁場でプラズマを閉じ込めることができ、核融合発電の原理にもなっていきます。
身近にもプラズマは存在しますので、次回紹介しますね。

放射線についてのわかりやすい参考書

【菊池誠(物理学者)✕小峰公子(ミュージシャン)おかざき真里(絵とマンガ)「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」筑摩書房】
 最近、放射線について話すことが増え、分かりやすい説明をしたいと思い、名古屋の丸善に参考書を見に行きました。もちろん、原発事故以降の関心の高まりで数多くの関連書籍が出版されていました。少し立ち読みしたら、不安を煽るものから、安心を強調したものまで、極端に意見が別れていました。それくらい極端な意見の方が売れるんだろうなと勘ぐってしまいます。


 そんな中で、平積みになっていた少しゆるい感じの本が目に止まりました。帯に「放射線のしくみから、からだに与える影響まで、いまこそ知っておきたい大事なことを、数式を使わずにていねいに解説。放射線が気になる人のための、もっともベーシックでわかりやすい本」と書いてありました。実際、対談形式になっていて、確かに読みやすい本です。読むのに時間もそれほどかかりません。それより驚いたのは、この本の内容、かなり正確で、極端な意見(学説とかデマ)が排除されています。中立の立場で書かれているいるなと感じました。

※私が放射線に関して正確かどうかを判断する基準は、直線しきい値なしモデル(LNTモデル)以外を強く主張しているかどうかです。LNTモデル以外を強く主張しているものを極端な意見と感じてしまいます。
 私の購入したものは、2014年の発行でまだ初版でした。あまり売れていないのかもしれません。放射線が気になる人もそうでない人も、多くの人に読んでほしい本です。

【田崎晴明著「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」朝日出版社】  最初に紹介した本の後書きで紹介されていました。若干難しくなりますが、わからないことはわからないと書いていますし、すごく正確だと感じます。私にとっても、大変参考になりました。

 最後にこのように書かれていますので引用させてもらいます。 「正しく怖がれ」と言われて恐怖感が消えるようだったら、そんな楽な話はない。ぼくは「気にする人」たちには「気にする自由」があると信じている。恥ずかしがらず、堂々と、「気になる、心配だ」と言うべきだし、まわりの人も「気にする自由」を認めるべきだ。「気にする自由」があるのと同じように、「気にしない自由」があるということも言っておきたい。なんか玉虫…

核融合科学研究所の重水素実験に対する誤った情報の指摘

核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の大型ヘリカル装置(LHD)で、重水素ガス(無害)を用いたプラズマ生成実験が開始されました。普通の水素ガスを用いるより重水素ガスを用いた方が、プラズマの温度が上がると言われていて、数年以内には、装置としての目標である1億2,000万度のプラズマ生成を達成すると思います。(現在の水素ガスの実験での達成値は9,400万度)この実験は、将来の核融合発電を実現するために必要不可欠なものです。
 この実験は基礎段階の学術的なもので、核融合反応を起こす(エネルギーを発生する)ことが目的ではありませんが、重水素同士が核融合反応(D-D反応)が起きる確率はゼロではなく(D-T反応に対して100分の1程度)、実験に使った重水素のごく僅かが核融合反応を起こします。その時に放射性物質である三重水素(トリチウム)と放射線である中性子が発生します。トリチウムは回収、中性子はコンクリート壁(もちろん天井もコンクリート)で遮蔽という安全対策をとり、もちろん法令を遵守して実験を行います。また1億度と言っても、周りの壁が溶けることはありません
 しかし、この実験には反対運動も根強く、広く市民に説明し、地元自治体の同意を得、実験を開始するまでに、約10年を費やしました。それでも、実験を開始する時点で、ネット上に誤った情報が多く流れ、市民の皆様に不安を与えてしまいました。もし、実験に不安に感じておられる方で、偶然この記事を見られたとしたら、最近のネット上の情報の誤りを指摘しますので、ぜひ参考にしてください。
民間の放射線計測システムで高線量(例えば2.6μSVとか)が観測されたとありますが、重水素実験とは全く関係ありません。なぜなら、研究所敷地内で高線量は観測されていないからです。研究所敷地内の環境放射線モニタリングシステムのデータを見ていただければ一目瞭然です。実験が開始されても値は変化していません。https://sewebserv.nifs.ac.jp/map.php (外部リンク)もしくは https://sewebserv.nifs.ac.jp/past.php (外部リンク)(なお、雨が降ると値が少し上昇しますので、ご注意ください。ガンマ線では200、中性子線では20という数字が自然の放射線量の範囲の目安です)装置がある建物に天井がない、中性子が空から飛ん…

核融合と核分裂のエネルギー比較

核融合も核分裂原子核の質量欠損を使ったエネルギーなので、少量の燃料で大きなエネルギーを得ることができます。工学的に大きな意味はないのですが、核融合と核分裂のエネルギーを比較してみましょう。

1個のウラン(U)原子核が核分裂したときに発生するエネルギーは、約200MeV(メガ電子ボルト)です。(MeVは物理で使うエネルギーの単位です。大きさを比較するだけなので、ここでは詳しい説明は省略します)一方、1個の重水素(2H)原子核と1個の三重水素(3H)原子核が核融合したときに発生するエネルギーは、約17MeVです。そうです、1回の反応で発生するエネルギーは、核分裂の方が核融合より約10倍大きいことが分かります。

ところが、こんな比較もできるのです。同じ燃料の重さから発生するエネルギーの比較です。ウランは水素よりかなり重たいので、燃料の単位重さ当たりで発生するエネルギーは、逆に核融合の方が核分裂より4倍大きくなります。

もっと分かりやすく表現すると、核分裂の燃料ウラン1グラムは「石炭3トン分」のエネルギーに相当します。一方、核融合の燃料(水素)1グラムは「石炭13トン分」に相当します。さらに、これは「石油約8トン分」です。いずれにしても、少ない燃料で大きなエネルギーが得られることにかわりありません。

※ここでは反応で生まれるエネルギーを計算しました。発電所で電気エネルギーに変換すると、発電効率がかけ算されるので、少し数字が変わります。

核融合発電所で使われる実際の燃料と反応

核融合発電に利用される反応は、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウムとも呼ばれます)の融合反応です。重水素は、自然の水の中にも含まれる安定な物質です。(水はH2Oなので、Hの部分が水素で、一部が重水素)普通の水素と重水素の自然界の存在比率は、99.985%と0.015%です。少ないように思いますが、海水を含めた水は、地球上に莫大にありますから、重水素は無尽蔵の燃料資源といってよいでしょう。
☆一方で、三重水素は自然界にはほとんど存在しません。また半減期が12年の放射性物質です。ほっておくと弱い電子を放出して、ヘリウムに変わっていきます。ですから、三重水素は燃料資源にはならないのです。だったらどうして核融合発電が成り立つのでしょうか。上の絵を見て下さい。(橙玉が陽子、青玉が中性子を表しています)重水素と三重水素の融合反応で出来た中性子がリチウムに当たって、三重水素とヘリウム(絵の一番右)が出来ています。この出来た三重水素を最初の融合反応に使うのです。三重水素はグルグル回っているだけで、外から供給する必要はありません。
☆当然、上のリチウムは外から持って来なければいけません。リチウムは、鉱物、塩湖から採取できる比較的豊富な資源で、パソコンや車の2次電池としても普通に使われています。(リチウムイオン電池とも呼ばれています)また海水にも含まれているので、リチウムの資源量もほぼ無尽蔵です。(海水からリチウムを採取する方法はまだ開発中ですが)そこで、核融合発電の実際の燃料は重水素とリチウムの2つということになるので、核融合発電の燃料資源が無尽蔵といえるわけです。
☆上の絵を見て、反応の後に残るもの(灰とも言います)が何か分かりますか。ヘリウムだけですよね。ヘリウムは安定で無害、温暖化ガスでもオゾン層破壊物質でもありません。外に捨てても問題ありませんが、貴重な資源なので、再利用しましょう。
三重水素は放射性物質ですが、上の上の絵のとおり発電所の中で循環しています。その量は1つの発電所の中で5キログラム程度です。(原子力発電所内の放射性物質の量と比べると桁違いに少ないです)金属の容器や配管の中に(何重にも)閉じ込められているので、外には出てきません。回収しきれないものが外に出てくるかもしれませんが、その量は法律や基準等で厳しく規制されます。最悪の事故を考えて、もし三…

核融合が起きるしくみ

☆核融合というのは、2つの原子核をくっつける(融合)させることです。その仕組みについてお話ししようと思います。2つの原子核をその直径程度の距離(1兆分の1センチメートル)に近付けると強力な引力が働きます。これを核力と呼びます。そして原子核同士が融合します。これが核融合です。引力が働いてくっつくので、なんか簡単なことのように思えます。
☆ところが、この距離から少しでも離れていると、今度は逆に反発力が働くのです。原子核(陽子)がプラスの電気を帯びているので、電気(静電)的な反発力と呼びます。そして比較的遠くまで働きます。さて困りました。核力が働く距離に近付けるまでは、この反発力に打ち勝たなければいけません。
☆この状況は、上の絵のように、山状になったグリーンの頂上にあるカップにゴルフボール(赤い玉)を入れるのに似ています。カップに向かってボールを打ち、見事カップに入ると穴に落ちていきます。(これで黄色の玉と赤い玉が融合)上り坂が反発力で、カップの穴に落ちるのが吸引力です。このたとえのように、核融合を起こすのは結構難しいことなのです。
☆核融合を起こすためには、電気的な反発力に打ち勝つだけの力(速度)を原子核に与えなければいけません。核融合発電の場合は、水素の同位体(重水素三重水素)の原子核に、毎秒1,000キロメートルという速度を与える必要があります。これを温度に換算するとなんと1億度になります。そして上手く2個の原子核を衝突させることができたら、今度は核力による引力が働くことで、大きなエネルギーが発生します。これを利用するのがプラズマ(希薄な高温ガス)を利用した核融合発電で、今、全世界で研究が行われています。

☆ちなみに、ウラン235に中性子が吸収されて分裂が起こる核分裂反応では、中性子が電気を帯びていないので、上の核融合のような反発力が働きません。だから核融合より簡単に起こすことができるのです。


核融合反応でできたヘリウム灰を外に排気する方法

核融合炉の中では、核融合反応によって中性子とヘリウムができ中性子がブランケットと呼ばれる壁で熱に変わるという話はこれまでもしてきました。ですが、ヘリウムはどうなるのかという話はしていなかったと思います。ヘリウムもプラズマ状態ですから、磁場の籠で閉じ込められて、外に出て行きません。そうすると、プラズマの中にヘリウムが溜まってしまって、水素の核融合反応を邪魔するようになってしまいます。どうにかして、ヘリウムを外に排気しなければいけません。(だから、専門家はヘリウムのことを灰と呼んでいます)
そこで考えられたのが、ダイバータと呼ばれる装置です。ダイバータは「流れを転じるもの」といった意味です。上の絵のように、プラズマの断面は一般的に楕円形をしているのですが、その一部から外に向かってプラズマが外に飛び出るようにします。(絵の下側のように。池の端に水が流れ出す水路を作るイメージです)そうすると、プラズマ粒子の一部がそこに向かって流れ出します。当然水素に混じってヘリウムも流れ出します。そのプラズマ粒子を板にぶつけて、止めてしまうともうプラズマではなくなり普通の気体なので、ポンプを使って外に排気できます。そのような仕組みを持った装置がダイバータです。排気されたガスはヘリウム混じりの水素なので、ヘリウムを分離して水素をもう一度プラズマに戻すと、プラズマにヘリウムが溜まらなくてすみます。
ダイバータの板にはプラズマが当たりますから、核融合炉の中で最も温度が上がります。普通の金属では溶ける可能性があるので、最も溶けにくいタングステンという金属が使われます。(もちろん少しでも溶けたら不純物となってプラズマを一瞬で冷やしてしまうので、メルトダウンといったことは起こりません)現在フランスに建設中のイーター(ITER)という装置では、実際に核融合反応が起きますから、ダイバータが上手く働くかどうかが確かめられるはずです。
なお、ヘリウムは無害で、温室効果もありませんから、外に排気しても環境に影響は与えません。それより貴重な資源ですから、有効利用するのがよいでしょう。

大型ヘリカル装置の超伝導コイルが捩れている理由

☆私たちの研究所(岐阜県土岐市)では、世界最大のヘリカル型プラズマ実験装置である「大型ヘリカル装置」を用いて、高温プラズマを閉じ込める研究を行っています。この「ヘリカル」というのは「らせん状の」という意味で、ドーナツ状のプラズマの周りにらせん状の超伝導コイルが巻き付けられていることから名付けられました。(下の絵をご覧下さい)

☆では、どうしてらせん状のコイルが必要なのでしょうか?それは洗濯機のように粒子をかき混ぜるためなのです。ドラム式洗濯機を思い浮かべてください。ドラムが回っていないと、洗濯物は下に溜まってしまいます。同じように、ドーナツ状のプラズマの中では、下の絵(ドーナツの断面)の左側のように、プラスの電気を帯びた粒子(原子核)とマイナスの電気を帯びた粒子(電子)が、上下に分離してしまいます。これでは、上手く閉じ込められないことが分かっています。そこで、粒子が磁場にまとわり付く性質を利用し、コイルをらせん状にして、上下をかき混ぜてしまおうというのです。かき混ぜると、下の絵の右側のように、原子核と電子が上手く混ざり合います。ドラム式洗濯機のドラムを回すと、洗濯物が全体に広がるのと同じですね。
☆さて、磁場でプラズマを閉じ込める型にはもう一つ、トカマク型があります。こちらのコイルは下の絵のようにらせん状ではなくリング状です。この形のコイルだけでは、かき混ぜる効果はありません。そこでトカマク型では、プラズマに電流を流します。その電流がらせん状の磁場を作り出し、粒子をかき混ぜる仕組みになっているのです。ですから、コイルの形は単純ですが、プラズマに電流を流す工夫が必要になってきます。