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放射線についてのわかりやすい参考書

【菊池誠(物理学者)✕小峰公子(ミュージシャン)おかざき真里(絵とマンガ)「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」筑摩書房】
 最近、放射線について話すことが増え、分かりやすい説明をしたいと思い、名古屋の丸善に参考書を見に行きました。もちろん、原発事故以降の関心の高まりで数多くの関連書籍が出版されていました。少し立ち読みしたら、不安を煽るものから、安心を強調したものまで、極端に意見が別れていました。それくらい極端な意見の方が売れるんだろうなと勘ぐってしまいます。


 そんな中で、平積みになっていた少しゆるい感じの本が目に止まりました。帯に「放射線のしくみから、からだに与える影響まで、いまこそ知っておきたい大事なことを、数式を使わずにていねいに解説。放射線が気になる人のための、もっともベーシックでわかりやすい本」と書いてありました。実際、対談形式になっていて、確かに読みやすい本です。読むのに時間もそれほどかかりません。それより驚いたのは、この本の内容、かなり正確で、極端な意見(学説とかデマ)が排除されています。中立の立場で書かれているいるなと感じました。

※私が放射線に関して正確かどうかを判断する基準は、直線しきい値なしモデル(LNTモデル)以外を強く主張しているかどうかです。LNTモデル以外を強く主張しているものを極端な意見と感じてしまいます。
 私の購入したものは、2014年の発行でまだ初版でした。あまり売れていないのかもしれません。放射線が気になる人もそうでない人も、多くの人に読んでほしい本です。

【田崎晴明著「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」朝日出版社】  最初に紹介した本の後書きで紹介されていました。若干難しくなりますが、わからないことはわからないと書いていますし、すごく正確だと感じます。私にとっても、大変参考になりました。

 最後にこのように書かれていますので引用させてもらいます。 「正しく怖がれ」と言われて恐怖感が消えるようだったら、そんな楽な話はない。ぼくは「気にする人」たちには「気にする自由」があると信じている。恥ずかしがらず、堂々と、「気になる、心配だ」と言うべきだし、まわりの人も「気にする自由」を認めるべきだ。「気にする自由」があるのと同じように、「気にしない自由」があるということも言っておきたい。なんか玉虫…

核融合科学研究所の重水素実験に対する誤った情報の指摘

核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の大型ヘリカル装置(LHD)で、重水素ガス(無害)を用いたプラズマ生成実験が開始されました。普通の水素ガスを用いるより重水素ガスを用いた方が、プラズマの温度が上がると言われていて、数年以内には、装置としての目標である1億2,000万度のプラズマ生成を達成すると思います。(現在の水素ガスの実験での達成値は9,400万度)この実験は、将来の核融合発電を実現するために必要不可欠なものです。
 この実験は基礎段階の学術的なもので、核融合反応を起こす(エネルギーを発生する)ことが目的ではありませんが、重水素同士が核融合反応(D-D反応)が起きる確率はゼロではなく(D-T反応に対して100分の1程度)、実験に使った重水素のごく僅かが核融合反応を起こします。その時に放射性物質である三重水素(トリチウム)と放射線である中性子が発生します。トリチウムは回収、中性子はコンクリート壁(もちろん天井もコンクリート)で遮蔽という安全対策をとり、もちろん法令を遵守して実験を行います。また1億度と言っても、周りの壁が溶けることはありません
 しかし、この実験には反対運動も根強く、広く市民に説明し、地元自治体の同意を得、実験を開始するまでに、約10年を費やしました。それでも、実験を開始する時点で、ネット上に誤った情報が多く流れ、市民の皆様に不安を与えてしまいました。もし、実験に不安に感じておられる方で、偶然この記事を見られたとしたら、最近のネット上の情報の誤りを指摘しますので、ぜひ参考にしてください。
民間の放射線計測システムで高線量(例えば2.6μSVとか)が観測されたとありますが、重水素実験とは全く関係ありません。なぜなら、研究所敷地内で高線量は観測されていないからです。研究所敷地内の環境放射線モニタリングシステムのデータを見ていただければ一目瞭然です。実験が開始されても値は変化していません。https://sewebserv.nifs.ac.jp/map.php (外部リンク)もしくは https://sewebserv.nifs.ac.jp/past.php (外部リンク)(なお、雨が降ると値が少し上昇しますので、ご注意ください。ガンマ線では200、中性子線では20という数字が自然の放射線量の範囲の目安です)装置がある建物に天井がない、中性子が空から飛ん…

核融合と核分裂のエネルギー比較

核融合も核分裂原子核の質量欠損を使ったエネルギーなので、少量の燃料で大きなエネルギーを得ることができます。工学的に大きな意味はないのですが、核融合と核分裂のエネルギーを比較してみましょう。

1個のウラン(U)原子核が核分裂したときに発生するエネルギーは、約200MeV(メガ電子ボルト)です。(MeVは物理で使うエネルギーの単位です。大きさを比較するだけなので、ここでは詳しい説明は省略します)一方、1個の重水素(2H)原子核と1個の三重水素(3H)原子核が核融合したときに発生するエネルギーは、約17MeVです。そうです、1回の反応で発生するエネルギーは、核分裂の方が核融合より約10倍大きいことが分かります。

ところが、こんな比較もできるのです。同じ燃料の重さから発生するエネルギーの比較です。ウランは水素よりかなり重たいので、燃料の単位重さ当たりで発生するエネルギーは、逆に核融合の方が核分裂より4倍大きくなります。

もっと分かりやすく表現すると、核分裂の燃料ウラン1グラムは「石炭3トン分」のエネルギーに相当します。一方、核融合の燃料(水素)1グラムは「石炭13トン分」に相当します。さらに、これは「石油約8トン分」です。いずれにしても、少ない燃料で大きなエネルギーが得られることにかわりありません。

※ここでは反応で生まれるエネルギーを計算しました。発電所で電気エネルギーに変換すると、発電効率がかけ算されるので、少し数字が変わります。

核融合発電所で使われる実際の燃料と反応

核融合発電に利用される反応は、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウムとも呼ばれます)の融合反応です。重水素は、自然の水の中にも含まれる安定な物質です。(水はH2Oなので、Hの部分が水素で、一部が重水素)普通の水素と重水素の自然界の存在比率は、99.985%と0.015%です。少ないように思いますが、海水を含めた水は、地球上に莫大にありますから、重水素は無尽蔵の燃料資源といってよいでしょう。
☆一方で、三重水素は自然界にはほとんど存在しません。また半減期が12年の放射性物質です。ほっておくと弱い電子を放出して、ヘリウムに変わっていきます。ですから、三重水素は燃料資源にはならないのです。だったらどうして核融合発電が成り立つのでしょうか。上の絵を見て下さい。(橙玉が陽子、青玉が中性子を表しています)重水素と三重水素の融合反応で出来た中性子がリチウムに当たって、三重水素とヘリウム(絵の一番右)が出来ています。この出来た三重水素を最初の融合反応に使うのです。三重水素はグルグル回っているだけで、外から供給する必要はありません。
☆当然、上のリチウムは外から持って来なければいけません。リチウムは、鉱物、塩湖から採取できる比較的豊富な資源で、パソコンや車の2次電池としても普通に使われています。(リチウムイオン電池とも呼ばれています)また海水にも含まれているので、リチウムの資源量もほぼ無尽蔵です。(海水からリチウムを採取する方法はまだ開発中ですが)そこで、核融合発電の実際の燃料は重水素とリチウムの2つということになるので、核融合発電の燃料資源が無尽蔵といえるわけです。
☆上の絵を見て、反応の後に残るもの(灰とも言います)が何か分かりますか。ヘリウムだけですよね。ヘリウムは安定で無害、温暖化ガスでもオゾン層破壊物質でもありません。外に捨てても問題ありませんが、貴重な資源なので、再利用しましょう。
三重水素は放射性物質ですが、上の上の絵のとおり発電所の中で循環しています。その量は1つの発電所の中で5キログラム程度です。(原子力発電所内の放射性物質の量と比べると桁違いに少ないです)金属の容器や配管の中に(何重にも)閉じ込められているので、外には出てきません。回収しきれないものが外に出てくるかもしれませんが、その量は法律や基準等で厳しく規制されます。最悪の事故を考えて、もし三…

核融合が起きるしくみ

☆核融合というのは、2つの原子核をくっつける(融合)させることです。その仕組みについてお話ししようと思います。2つの原子核をその直径程度の距離(1兆分の1センチメートル)に近付けると強力な引力が働きます。これを核力と呼びます。そして原子核同士が融合します。これが核融合です。引力が働いてくっつくので、なんか簡単なことのように思えます。
☆ところが、この距離から少しでも離れていると、今度は逆に反発力が働くのです。原子核(陽子)がプラスの電気を帯びているので、電気(静電)的な反発力と呼びます。そして比較的遠くまで働きます。さて困りました。核力が働く距離に近付けるまでは、この反発力に打ち勝たなければいけません。
☆この状況は、上の絵のように、山状になったグリーンの頂上にあるカップにゴルフボール(赤い玉)を入れるのに似ています。カップに向かってボールを打ち、見事カップに入ると穴に落ちていきます。(これで黄色の玉と赤い玉が融合)上り坂が反発力で、カップの穴に落ちるのが吸引力です。このたとえのように、核融合を起こすのは結構難しいことなのです。
☆核融合を起こすためには、電気的な反発力に打ち勝つだけの力(速度)を原子核に与えなければいけません。核融合発電の場合は、水素の同位体(重水素三重水素)の原子核に、毎秒1,000キロメートルという速度を与える必要があります。これを温度に換算するとなんと1億度になります。そして上手く2個の原子核を衝突させることができたら、今度は核力による引力が働くことで、大きなエネルギーが発生します。これを利用するのがプラズマ(希薄な高温ガス)を利用した核融合発電で、今、全世界で研究が行われています。

☆ちなみに、ウラン235に中性子が吸収されて分裂が起こる核分裂反応では、中性子が電気を帯びていないので、上の核融合のような反発力が働きません。だから核融合より簡単に起こすことができるのです。


核融合反応でできたヘリウム灰を外に排気する方法

核融合炉の中では、核融合反応によって中性子とヘリウムができ中性子がブランケットと呼ばれる壁で熱に変わるという話はこれまでもしてきました。ですが、ヘリウムはどうなるのかという話はしていなかったと思います。ヘリウムもプラズマ状態ですから、磁場の籠で閉じ込められて、外に出て行きません。そうすると、プラズマの中にヘリウムが溜まってしまって、水素の核融合反応を邪魔するようになってしまいます。どうにかして、ヘリウムを外に排気しなければいけません。(だから、専門家はヘリウムのことを灰と呼んでいます)
そこで考えられたのが、ダイバータと呼ばれる装置です。ダイバータは「流れを転じるもの」といった意味です。上の絵のように、プラズマの断面は一般的に楕円形をしているのですが、その一部から外に向かってプラズマが外に飛び出るようにします。(絵の下側のように。池の端に水が流れ出す水路を作るイメージです)そうすると、プラズマ粒子の一部がそこに向かって流れ出します。当然水素に混じってヘリウムも流れ出します。そのプラズマ粒子を板にぶつけて、止めてしまうともうプラズマではなくなり普通の気体なので、ポンプを使って外に排気できます。そのような仕組みを持った装置がダイバータです。排気されたガスはヘリウム混じりの水素なので、ヘリウムを分離して水素をもう一度プラズマに戻すと、プラズマにヘリウムが溜まらなくてすみます。
ダイバータの板にはプラズマが当たりますから、核融合炉の中で最も温度が上がります。普通の金属では溶ける可能性があるので、最も溶けにくいタングステンという金属が使われます。(もちろん少しでも溶けたら不純物となってプラズマを一瞬で冷やしてしまうので、メルトダウンといったことは起こりません)現在フランスに建設中のイーター(ITER)という装置では、実際に核融合反応が起きますから、ダイバータが上手く働くかどうかが確かめられるはずです。
なお、ヘリウムは無害で、温室効果もありませんから、外に排気しても環境に影響は与えません。それより貴重な資源ですから、有効利用するのがよいでしょう。

大型ヘリカル装置の超伝導コイルが捩れている理由

☆私たちの研究所(岐阜県土岐市)では、世界最大のヘリカル型プラズマ実験装置である「大型ヘリカル装置」を用いて、高温プラズマを閉じ込める研究を行っています。この「ヘリカル」というのは「らせん状の」という意味で、ドーナツ状のプラズマの周りにらせん状の超伝導コイルが巻き付けられていることから名付けられました。(下の絵をご覧下さい)

☆では、どうしてらせん状のコイルが必要なのでしょうか?それは洗濯機のように粒子をかき混ぜるためなのです。ドラム式洗濯機を思い浮かべてください。ドラムが回っていないと、洗濯物は下に溜まってしまいます。同じように、ドーナツ状のプラズマの中では、下の絵(ドーナツの断面)の左側のように、プラスの電気を帯びた粒子(原子核)とマイナスの電気を帯びた粒子(電子)が、上下に分離してしまいます。これでは、上手く閉じ込められないことが分かっています。そこで、粒子が磁場にまとわり付く性質を利用し、コイルをらせん状にして、上下をかき混ぜてしまおうというのです。かき混ぜると、下の絵の右側のように、原子核と電子が上手く混ざり合います。ドラム式洗濯機のドラムを回すと、洗濯物が全体に広がるのと同じですね。
☆さて、磁場でプラズマを閉じ込める型にはもう一つ、トカマク型があります。こちらのコイルは下の絵のようにらせん状ではなくリング状です。この形のコイルだけでは、かき混ぜる効果はありません。そこでトカマク型では、プラズマに電流を流します。その電流がらせん状の磁場を作り出し、粒子をかき混ぜる仕組みになっているのです。ですから、コイルの形は単純ですが、プラズマに電流を流す工夫が必要になってきます。

模型で見る核融合発電炉

☆上の写真は、核融合科学研究所の玄関に展示されている核融合発電炉(設計中)の模型です。中が真空なので、実際は金属の容器に覆われて中は見えないのですが、模型なので、ミカンの皮を剥ぐように中が見えるようにしています。
☆全体としてドーナッツ状をした発電炉は、外径が40メートルあります。(少し大きいので、研究を進めてもっと小さくしたいと思っています)水素のガスが高温になったプラズマ(薄ピンク色の部分)を、強力な磁場を発生する超伝導マグネット(青色の部分)と熱エネルギーを発生するブランケット(黄色の部分)が取り囲みます。そしてその外側が真空を保つ金属容器(クライオスタット)です。全体的な形は、加速器とよく似ています。(水素原子、つまり陽子を加速するという意味では、本当に加速器なのですが)
☆この発電炉は、今実験中の大型ヘリカル装置(LHD)を相似形で4倍に拡大したものになっています。ですから、今のLHDの実験結果や建設の経験を用いて設計しています。
☆断面を拡大すると下のような写真になります。プラズマの断面は卵のような楕円形です。超伝導マグネット(コイル)は2本がDNAのように2重らせんになっています。この形からヘリカル型と呼ばれています。(一方、コイルが捩れていないのはトカマク形です)ブランケットは、核融合反応で発生する中性子を受け止めて、運動エネルギーを熱エネルギーに変えます。中性子が外に漏れないように、プラズマを完全に覆っています。(ブランケットは毛布という意味です。)
☆超伝導マグネットの温度はマイナス270度、ブランケットは500度くらいになります。短い距離でこの温度差を維持するために、色々な工夫が必要になります。真空にするのはもちろん、スーパーインシュレーションと呼ばれる断熱材を挟みます。温度によって材料が伸び縮みすることも正確に計算しておかないと、温度の違うものが接触したり、部品が壊れたりします。この温度差が、工学設計では難しいところになっています。

核融合発電のプラズマが爆発しない理由

核融合発電では、1億度プラズマ(真空に近い希薄な水素ガス)を使うので、爆発するのではという心配を皆さん持つようです。(核爆発を連想するのかもしれません)でも安心してください。「原理的」に爆発しないのです。

☆爆発というと、一気にエネルギーを発生して、火の玉のように温度が上がって、爆風を伴って周りのものを吹き飛ばすというイメージですよね。核融合発電のプラズマは、運転条件の(例えば)1億度よりさらに温度を上げることが、その原理からして不可能なのです。だから一気にエネルギーを発生したり、温度が勝手に上がっていくというようなことが起こりません。また1億度のプラズマが周りの金属を溶かすようなこともありません

☆どうしてかもう少し説明します。 プラズマは希薄すぎるため、壁に当たると温度が下がってしまうので、目に見えない磁場のかご(籠)を使って閉じ込めます。(上の左の図)広がろうとするプラズマを磁場の力で押さえ込んでいる感じです。この広がろうとしたり、押さえ込もうとしたりする力のことを「圧力」と呼びます。ここでプラズマの圧力は「温度」×「粒子の数(密度)」に比例し、磁場の圧力は超伝導電磁石が作る磁場の強さによって決まっているというのが味噌になります。そしてプラズマの圧力と磁場の圧力が上手く釣り合ってこそ、初めて運転ができるのです。(その圧力は、核融合発電の場合、数気圧ですので、爆発することはありません。)このバランスが崩れると、プラズマの温度は一瞬に下がってしまいます。

☆ここで温度が突然上がったらどうなるか考えてみます。温度が上がると、プラズマの圧力が上がります。一方、磁場の圧力は変わりません。(磁場の強さは一定ですから)これでは上手く閉じ込められなくてバランスが崩れ、(シャボン玉が割れるような感じで)プラズマの温度が瞬時に下がってしまいます。また、燃料を入れすぎた場合を考えてみます。今度は粒子の数が増えて、やっぱりプラズマの圧力が上がります。磁場の圧力は変わりません。今度も上手く閉じ込められず、プラズマの温度が下がってしまいます。このように一定の磁場の圧力によって、温度や密度が異常に上昇することを抑制しているのです。バケツの水で例えると、いくら沢山の水(プラズマの圧力)を入れようとしても、バケツの大きさ(磁場の圧力)が決まっているので、ある量以上の水は絶対に入らない…

核融合炉の中でプラズマを温める方法

核融合発電の炉の中では、水素の同位体(重水素三重水素)が超高温プラズマ状態になっています。プラズマは粒子の密度が空気の10万分の1という希薄な(ほとんど真空の)ガスの状態です。そしてある温度以上になったとき中心部が核融合反応を起こし、エネルギーを発生します。そのような超高温プラズマを作るためには、最初に室温の水素のガスを温める必要があります。その方法について説明します。

☆プラズマを温める方法には大きく2種類があります。ひとつは電波を当てて温める方法です(絵の左側)。皆さんの家でも電子レンジを使って料理に電波を当てて温めていますよね。あれと同じ原理です。もうひとつは、加速器で高速に加速した(つまり温度の高い)水素をプラズマに入れる方法です(絵の右側)。こちらはヤカンで沸騰させた水を、冷たい水に注ぎ込むということに似ています。この二つの方法を上手く組み合わせてプラズマを温めていきます。

☆ 一度プラズマが温まってしまうと、後は自分の作ったエネルギーで温度を維持します。その状態にまで温めることを「点火」といいます。また温度を維持するためには、温度が下がらないように、周りを真空で断熱しなければなりません。そのためにプラズマは、強力な磁力を使って真空の中で浮かせます。核融合炉は、完全に真空に取り囲まれていて、魔法瓶のように熱が逃げない構造になっています。