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ドイツのステラレータ型プラズマ実験装置がほぼ完成

先日ドイツから、建設中のヴェンデルシュタイン7X(W7-X)というプラズマ実験装置がほぼ完成したというニュース( 外部リンク )が入りました。(真空容器に取り付ける254個すべてのポートの溶接が完了したそうです。)そして来年2014年には運転を開始します。 W7-Xは、いわゆる トカマク型 ではなく、分類では 日本の大型ヘリカル装置(LHD) と同じ ステラレータ型 ( ヘリカル型 とも言います)と呼ばれるタイプです。またLHDとほぼ同じサイズで、直径10メートルを少し超えるくらいです。違うのは、 超伝導電磁コイルの形 。上の図のように、複雑な形をした50個のコイル(青い部分がコイル、黄色い部分はプラズマ)がドーナツ状に並びます。最初はこんな複雑なものができるのかと思いましたが、ドイツもやりましたね。 これで世界に2大ステラレータが完成したことになります。競争相手ができたことも嬉しいし、どんなプラズマができるのかとても楽しみです。

ヘリカルとトカマク

☆岐阜県土岐市(私の研究所)で研究が進められているのはヘリカル方式(ステラレータ型のひとつ)と呼ばれ、茨城県那珂市で研究が進められているのはトカマク方式と呼ばれています。(これらの磁場閉じ込め方式と原理の異なるレーザー方式という方法もあります)どうして2つの方式があって、日本では2ヶ所で研究が行なわれているのでしょうか。 ☆ 文部科学省のHP(外部リンク) から引用すると、「国内においては、トカマク、ヘリカル、レーザー、炉工学を重点化すべき課題に絞り込み、これまで長年にわたりプラズマ研究を担ってきた多数の実験装置を、臨界プラズマ試験装置JT−60(トカマク方式/日本原子力研究開発機構)、 大型ヘリカル装置LHD (ヘリカル方式/核融合科学研究所)、激光XII号(レーザー方式/大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)に整理・統合することによって重点化・効率化を図り、共同利用・共同研究を積極的に推進しています」が「我が国における核融合研究開発の方針」となっています。つまり、今はトカマクとヘリカル、そしてレーザーに実験装置を絞り込んで研究を進めている段階にあります。 ☆ヘリカルとトカマクは、見た目には 磁場を作る電磁コイルの形 が異なります。(下の図を見てください)しかし、ドーナツ状のプラズマを作る点や 超伝導磁石 を使う点など基本部分は同じで、現時点ではどちらにも研究・開発しなければならない課題があります。そして両方の研究で分からないことを補い合い、同時に研究が進んでいます。発電所を作り始める段階ではどちらの方式にするか決めないといけませんが、現時点では2つの方式を同時に研究・開発することが望ましいと思います。(2つあることが無駄にはなっていないということです。) トカマク方式のプラズマと超伝導コイルの形 (リング状のコイルが等間隔に並んでいます) ヘリカル方式のプラズマと超伝導コイルの形 (連続した捩れたコイルが巻き付けられています)

ステラレータ(星の発生装置)

☆私の研究所にある「大型ヘリカル装置」は、ステラレータ(Stellarator)という名前の装置の仲間です。ステラレータは、天文学者でもある米国プリンストン大学のスピッツァー教授が1950年頃に考案しました。この名前も彼がつけたもので、Stellar-「星の」という形容詞がついた天文学者らしい命名です。なんと最初のステラレータ装置は「8の字」の形をしていたそうです。ステラレータはその後、色々な改良が加えられ、京都大学でヘリオトロン(Heliotron、helioは太陽の意)という装置が考案されました。「大型ヘリカル装置」は日本で進化を遂げた世界最大のヘリオトロン装置です。 ☆ステラレータやヘリオトロンと同じドーナツ状のプラズマを作る装置にトカマク(TOKAMAK)があります。こちらは旧ソビエトで考案され、名前もロシア語でTOK(電流)、KAMEPA(容器)、MAGNITNUE(磁気)、KATUSHKI(コイル)の頭文字からきています。これまでトカマクのほうが大きな装置が作られ、プラズマ最高温度の記録も持っています。国際協力で建設が始まろうとしているイーター(ITER)もトカマクです。トカマクで核融合反応の実証が行われ、次に作られる 核融合発電所 については、いろいろな装置の競争になるだろうと考えています。