☆私の研究所にある「大型ヘリカル装置」は、ステラレータ(Stellarator)という名前の装置の仲間です。ステラレータは、天文学者でもある米国プリンストン大学のスピッツァー教授が1950年頃に考案しました。この名前も彼がつけたもので、Stellar-「星の」という形容詞がついた天文学者らしい命名です。なんと最初のステラレータ装置は「8の字」の形をしていたそうです。ステラレータはその後、色々な改良が加えられ、京都大学でヘリオトロン(Heliotron、helioは太陽の意)という装置が考案されました。「大型ヘリカル装置」は日本で進化を遂げた世界最大のヘリオトロン装置です。
☆ステラレータやヘリオトロンと同じドーナツ状のプラズマを作る装置にトカマク(TOKAMAK)があります。こちらは旧ソビエトで考案され、名前もロシア語でTOK(電流)、KAMEPA(容器)、MAGNITNUE(磁気)、KATUSHKI(コイル)の頭文字からきています。これまでトカマクのほうが大きな装置が作られ、プラズマ最高温度の記録も持っています。国際協力で建設が始まろうとしているイーター(ITER)もトカマクです。トカマクで核融合反応の実証が行われ、次に作られる核融合発電所については、いろいろな装置の競争になるだろうと考えています。
☆ステラレータやヘリオトロンと同じドーナツ状のプラズマを作る装置にトカマク(TOKAMAK)があります。こちらは旧ソビエトで考案され、名前もロシア語でTOK(電流)、KAMEPA(容器)、MAGNITNUE(磁気)、KATUSHKI(コイル)の頭文字からきています。これまでトカマクのほうが大きな装置が作られ、プラズマ最高温度の記録も持っています。国際協力で建設が始まろうとしているイーター(ITER)もトカマクです。トカマクで核融合反応の実証が行われ、次に作られる核融合発電所については、いろいろな装置の競争になるだろうと考えています。
コメント
少し付け加えて説明させてください。形を自由に変えることができる電気を持った「プラズマ」をドーナツ(トーラス)状の決まった形にしたいのですが、どうしてもドーナツの環が外側へ広がろうします。その理由が、プラズマの中にできる電場とコイルで作った磁場が働き合って、プラズマに外側に広がろうとする電磁力が働くからです。(フレミングの左手の法則として知られています)プラズマが外に広がってしまうと壁に当たって、プラズマは消えてしまいます。そこで考えられたのが、コイル(磁場)を周期的に内側と外側ににねじって、例えて言えば洗濯機のようにプラズマをかき混ぜ、一方向の電場ができないように押さえ込む(中和するともいいます)方法です。「大型ヘリカル装置」ではコイルが10回ねじれています。このねじれた形状がとても大切なのです。
と言うことは・・・。
プラズマ自体が持つ磁場を、それを回転させる事によって打ち消すって事ですか?
コイルをねじる理由は回転させる為ですか?
また、そのコイルでプラズマを圧縮する事で高温を維持すると考えて宜しいでしょうか?
初歩的な質問で申し訳ありません。
プラズマは、プラスの電気を持つ原子核とマイナスの電気を持つ電子の集まりです。原子核と電子は同じ数だけあるので、プラズマはもともとプラスマイナスゼロ(中性)なのです。これをコイルで単純に磁場を作って圧縮しよう(閉じ込めよう)とするとプラズマの中のプラス粒子(原子核)とマイナス粒子(電子)が分離しようとしてしまいます。このことがプラズマが広がってしまおうとする問題の発端です。そこで、コイルをねじって、磁場を回転させて、磁場に沿って動くプラス粒子とマイナス粒子をかき混ぜて、電気的に中性にします。これでプラズマが広がろうとするのを抑えることができます。ご指摘の通り、コイルをねじって磁場を回転させることで、初めて高温のプラズマを閉じ込め、維持できることになります。