核融合も核分裂も原子核の質量欠損を使ったエネルギーなので、少量の燃料で大きなエネルギーを得ることができます。工学的に大きな意味はないのですが、核融合と核分裂のエネルギーを比較してみましょう。
1個のウラン(U)原子核が核分裂したときに発生するエネルギーは、約200MeV(メガ電子ボルト)です。(MeVは物理で使うエネルギーの単位です。大きさを比較するだけなので、ここでは詳しい説明は省略します)一方、1個の重水素(2H)原子核と1個の三重水素(3H)原子核が核融合したときに発生するエネルギーは、約17MeVです。そうです、1回の反応で発生するエネルギーは、核分裂の方が核融合より約10倍大きいことが分かります。
ところが、こんな比較もできるのです。同じ燃料の重さから発生するエネルギーの比較です。ウランは水素よりかなり重たいので、燃料の単位重さ当たりで発生するエネルギーは、逆に核融合の方が核分裂より4倍大きくなります。
もっと分かりやすく表現すると、核分裂の燃料ウラン1グラムは「石炭3トン分」のエネルギーに相当します。一方、核融合の燃料(水素)1グラムは「石炭13トン分」に相当します。さらに、これは「石油約8トン分」です。いずれにしても、少ない燃料で大きなエネルギーが得られることにかわりありません。
※ここでは反応で生まれるエネルギーを計算しました。発電所で電気エネルギーに変換すると、発電効率がかけ算されるので、少し数字が変わります。
コメント
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核分裂はウラン235が熱中性子をすって質量数90ちょっとと
130ちょっとと中性子2,3個に分裂することが多く、平均して
運動エネルギーが約200MeVでいいですか?
核融合用の水素燃料1グラムで石油8トン分は核分裂用ウラン235だと2トン弱ですね。
化学エネルギー(石油、石炭を燃やす)に比べて、
核エネルギー(核融合、核分裂)は「グラム」→「トン(1000kg=1000000グラム)」
ですから100万倍以上!
ところで、現在は石炭火力発電は例として歓迎されにくい状況ですね。
石炭13トンと石油8トンがだいたい同じ程度のエネルギーをだすとのこと。
同じ発電量としては、二酸化炭素を沢山出す石炭はイメージ悪いです、石油よりも。
石炭のほうが資源量がおおいようですが、、。
ご指摘の通り、核分裂で放出される核分裂片、中性子、ガンマ線などの運動エネルギーの総和が、平均して約200MeVです。
その通りです。核融合や核分裂といった核エネルギーは、石油や石炭などの燃焼によって得られる化学反応に比べて、同じ質量あたりで100万倍以上となります。