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核融合発電所で使われる実際の燃料と反応

核融合発電に利用される反応は、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウムとも呼ばれます)の融合反応です。重水素は、自然の水の中にも含まれる安定な物質です。(水はH2Oなので、Hの部分が水素で、一部が重水素)普通の水素と重水素の自然界の存在比率は、99.985%と0.015%です。少ないように思いますが、海水を含めた水は、地球上に莫大にありますから、重水素は無尽蔵の燃料資源といってよいでしょう。
☆一方で、三重水素は自然界にはほとんど存在しません。また半減期が12年の放射性物質です。ほっておくと弱い電子を放出して、ヘリウムに変わっていきます。ですから、三重水素は燃料資源にはならないのです。だったらどうして核融合発電が成り立つのでしょうか。上の絵を見て下さい。(橙玉が陽子、青玉が中性子を表しています)重水素と三重水素の融合反応で出来た中性子がリチウムに当たって、三重水素とヘリウム(絵の一番右)が出来ています。この出来た三重水素を最初の融合反応に使うのです。三重水素はグルグル回っているだけで、外から供給する必要はありません。
☆当然、上のリチウムは外から持って来なければいけません。リチウムは、鉱物、塩湖から採取できる比較的豊富な資源で、パソコンや車の2次電池としても普通に使われています。(リチウムイオン電池とも呼ばれています)また海水にも含まれているので、リチウムの資源量もほぼ無尽蔵です。(海水からリチウムを採取する方法はまだ開発中ですが)そこで、核融合発電の実際の燃料は重水素とリチウムの2つということになるので、核融合発電の燃料資源が無尽蔵といえるわけです。
☆上の絵を見て、反応の後に残るもの(灰とも言います)が何か分かりますか。ヘリウムだけですよね。ヘリウムは安定で無害、温暖化ガスでもオゾン層破壊物質でもありません。外に捨てても問題ありませんが、貴重な資源なので、再利用しましょう。
三重水素は放射性物質ですが、上の上の絵のとおり発電所の中で循環しています。その量は1つの発電所の中で5キログラム程度です。(原子力発電所内の放射性物質の量と比べると桁違いに少ないです)金属の容器や配管の中に(何重にも)閉じ込められているので、外には出てきません。回収しきれないものが外に出てくるかもしれませんが、その量は法律や基準等で厳しく規制されます。最悪の事故を考えて、もし三…

核融合が起きるしくみ

☆核融合というのは、2つの原子核をくっつける(融合)させることです。その仕組みについてお話ししようと思います。2つの原子核をその直径程度の距離(1兆分の1センチメートル)に近付けると強力な引力が働きます。これを核力と呼びます。そして原子核同士が融合します。これが核融合です。引力が働いてくっつくので、なんか簡単なことのように思えます。
☆ところが、この距離から少しでも離れていると、今度は逆に反発力が働くのです。原子核(陽子)がプラスの電気を帯びているので、電気(静電)的な反発力と呼びます。そして比較的遠くまで働きます。さて困りました。核力が働く距離に近付けるまでは、この反発力に打ち勝たなければいけません。
☆この状況は、上の絵のように、山状になったグリーンの頂上にあるカップにゴルフボール(赤い玉)を入れるのに似ています。カップに向かってボールを打ち、見事カップに入ると穴に落ちていきます。(これで黄色の玉と赤い玉が融合)上り坂が反発力で、カップの穴に落ちるのが吸引力です。このたとえのように、核融合を起こすのは結構難しいことなのです。
☆核融合を起こすためには、電気的な反発力に打ち勝つだけの力(速度)を原子核に与えなければいけません。核融合発電の場合は、水素の同位体(重水素三重水素)の原子核に、毎秒1,000キロメートルという速度を与える必要があります。これを温度に換算するとなんと1億度になります。そして上手く2個の原子核を衝突させることができたら、今度は核力による引力が働くことで、大きなエネルギーが発生します。これを利用するのがプラズマ(希薄な高温ガス)を利用した核融合発電で、今、全世界で研究が行われています。

☆ちなみに、ウラン235に中性子が吸収されて分裂が起こる核分裂反応では、中性子が電気を帯びていないので、上の核融合のような反発力が働きません。だから核融合より簡単に起こすことができるのです。