ジョゼフ・ヴァイス著 本多力訳:核融合エネルギー入門、文庫クセジュ(2004)
☆前の記事で紹介したブルーバックス「核融合への挑戦」が核融合についての入門書の第一であるとすると、第二は、この新書「核融合エネルギー入門」でしょうか。原著はフランス語ですが、実際に核融合に携わっている方が訳されているので、日本語でもとても読みやすくなっています。☆紹介した二つの新書は、一般向けに書かれたものなので、数式や専門的な記号や単位が出てきません。またエネルギー問題と将来のエネルギー開発の展望が、著者の視点から、多くのページを割いて書かれているので、その部分だけでもとても参考になります。
☆逆に二つを比べると「核融合エネルギー入門」のほうが、2004年初版なので、情報が最新で、かつ現実的です。現実的と言ったのは、核融合エネルギーの安全性、コスト、技術面の難しさなどが、現状の技術に合わせて書かれています。注意してほしいのは、フランス人向けに書かれた本なので、世界各国の研究状況には触れられていません。当然ですが、日本のことにも。その辺は訳者が後書きでフォローしています。
☆本書の最後から一文を紹介します。「(核融合エネルギーの)産業規模での実現は、今世紀前半には行われるだろう。そのころには、われわれの消費による天然資源の枯渇と気候温暖化を強く感じるようになっているはずである。」
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