☆以前、太陽で核融合反応が起こっている原理を説明しましたが、全く同じことを地球上で起こすことは不可能です。太陽は水素でできているにも関わらず、あれほどの大きさと重さを持っているので、核融合反応を起こすことができています。地球上では、せいぜい大きさが20~30メートルの装置の中でプラズマを作って、核融合反応を起こします。その方法を簡単に絵に書いてみました。まずプラズマを作る容器の中の空気を抜いて真空にします。容器は空気が入ってくるような孔が開いていない金属製の真空容器です。そしてそこに薄い水素ガス(室温)を入れます。(大気圧の数10万分の1の薄さなので、ほとんど真空です)太陽との大きな違いが、燃料の水素が真空状態の薄いガスであるということです。次に電子レンジのように電波を使ったりして人為的に暖めます。これで1億度に温度が上がり、水素がプラズマ状態になり、最終的に核融合反応が起こることで発電が可能になります。
☆このときよく受ける質問が「どうして容器の壁が溶けないのですか」です。実は、高温のプラズマは容器の壁に触れていません。プラズマができる容器の外側には超伝導磁石があって、磁場の力でプラズマは空中に浮いています。ここが不思議なところです。そしてプラズマと壁の間は真空で熱が伝わりにくくなっています。まるで魔法瓶と同じです。それでも一部の熱が金属の壁にも伝わり温度が上がります。だから特別な材料が使われ、水などで常に冷やします。温度は数百度になりますが、溶けることはありません。もし壁が少しでも溶けるようなことがあれば、プラズマの温度は一瞬で下がり、核融合反応は自動的に止まります。このことも核融合発電が安全な理由のひとつです。
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